「名前が嫌だ」と私をブタナいで!
私がブタナ(キク科エゾコウゾリナ属)の大群落に遭遇したのは、21年前のこと。
宮沢賢治の樺太への旅を検証する極めて学術的な調査に、ひょんなことで参加したのですが、サハリンに渡る直前、稚内市の草原にびっしりと咲き誇るこの花を初めて見て、
「へぇ、北海道にはタンポポに似た変わった花が咲いているんだなぁ。」
と思ったものでした。
それが今では、埼玉県の川越市小ヶ谷でも公園の芝生にびっしりと生えています。最近私がご紹介する花には外来種が多いのですが、これもまたヨーロッパ原産の外来種。
それにしても、ブタの菜っ葉とは、実に気の毒な名前。北海道で最初に発見されたときは「タンポポモドキ」と名付けられたらしいのですが、その後、なぜかブタナになってしまったようです。なんでも、フランスでの俗称である「豚のサラダ」から採ったものだとか。花(鼻)に大きな丸い穴が開いているわけではありません。
ヨーロッパの人(少なくともフランス人)たちは、「豚のサラダ」と言いつつ、こっそり(?)食べているらしいですよ。
タンポポよりもずっと背が高いですね。
こんなに茎が長いのに、茎には葉がありません。葉は、地面にぴったりと張りついているだけ。冬越しの「ロゼット葉」のままなのです。
芝刈りの試練にしっかりと耐える知恵、でしょうか。それもあって、除草剤を使用しない公園で大群落になるのかもしれませんね。
花には気品が漂っています。ブタさんにはお気の毒ですが、やっぱり「豚」はないですよねぇ。