羅城門の鬼の切り落とされた腕
秩父のある峠に毎年会いに行ったラショウモンカズラ(シソ科ラショウモンカズラ属)は、山野草らしからぬ豪華な花なのですが、数株しかなかったので、どことなく儚げでもありました。
私は、この花に「こじんまりと咲いている」というイメージを持っていたのですが、ここのお庭では、大きな欅の株下で大群落を形成していました。驚き。
その昔、羅城門に住まう鬼を渡辺綱が退治したという話があります。
渡辺綱は、豪の者ですから、鬼が出てきた途端に、「きゃあ」と言って逃げ出したりはいたしません。なんと、鬼の片腕を一刀のもとに切り落としたのだそうな。
綱の腕前はたいしたもので、「すごい」なぁ、そう思いますが、鬼さんの方は、突然の不幸に見舞われたわけで、さぞや痛かったことでしょう。
で、鬼さんの切り落とされた腕は、筋骨隆々でごん太いものだったはずです。
ラショウモンカズラの花を横から見ると、他のシソ科の山野草に比べると、ずんぐりむっくり。
鬼自慢の鍛え上げられた腕に似ていなくもない・・・ということで、ラショウモンカズラという名前となりました。