「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

ホトケノザの不思議発見(私にとって)!

 ホトケノザ(シソ科オドリコソウ属)を巡る考察を、ここのところ、まるで理科の自由研究のように進めました。一度記した内容ですが、新しく知ったことを加えて、もう一度レポートします。

 

 家に咲いていたホトケノザの茎を数本摘んできて、タブレットの上にそっと置き、花を正面から撮影したのが、この写真。

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「花の上の方に雄しべが一本伸びてきている!」とびっくりした」り、「雌しべは筒の下の方に隠れているのだろう」と想像したり。

 でも、よくよく観察してみると、雄しべは一本ではありませんでした。葯が複数見えますよね、約数本。
 そうなのです。一本に見えた雄しべ、実は4本の雄しべの合体した姿だったのです。


 そして、雌しべは、雄しべに囲まれていて見えないだけ。キクザキリュウキンカの咲き出しの頃と同じです。雌しべは、雄しべが葯にたくさん付けている花粉を虫にほぼ擦り付け終わった後に、雄しべの陰からその姿を現し、他の花の花粉を受け取るのでしょう。
 自花受粉を極力防ぐ驚異のシステム。

 

 次に、下の写真をご覧ください。
 ホトケノザの茎をタブレットカバーの上に置いたところ、目に見えないほどの粒がこぼれ落ちたのです。
 ぐぐっと寄って撮影したのがこれ。

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 正確には実(み)ですが、痩果なので種と言っても良いでしょう。ややこしいので、以下、種と呼ぶことにします。

 そうっと置いたのに、このように無数の種がポロポロこぼれ落ちるのですから、繁殖力の旺盛さをうかがい知ることができますね。

 畑一面に広がるわけです。

 

「ちょっと、待った~。どうも、ヒゲじいです。ポロポロ下にこぼれ落ちる種じゃあ、親苗のすぐ下にしか幼苗は生えてこないんじゃない? 畑一面に広がる訳がなかろう。」

 それがねえ、ヒゲじい、種をよく見てごらんなさい。

「うん、どれどれ。おや、何か白っぽいものがついておるぞ。もう、根っこが生えておるのかのぉ。根っからの慌て者、なんちゃって。」

 違いますよ、ヒゲじい。この白い部分は、「エライオソーム」と呼ばれるアリが大好きな物質。


 アリは、エライオソームの付着した種を巣穴近くまで運び、仲間総出で種からエライオソームを剥ぎ取り巣穴へ貯蔵。エライオソーム以外はアリにとっては廃棄物ですから、ぽいと捨てられてしまいます。結局、ホトケノザは、その種を労することなく遠くまで遠征させることに成功するので、子孫を広範囲に増やすことができるのです。アリのお陰です。
 アリさん、ありがとう!

 

 ホトケノザは、スミレ、カタクリ、アマナなどと同様、アリに種を遠くまで運んでもらう「アリ散布植物」。

 えええ、そんなのあり~?
 そんなのありです。

 

 もっとも、田畑一面にホトケノザが広がり、農家の人々を困らせるのは、アリの働きばかりではありません。人が耕耘することによっても散布されるので、人散布植物という面もあります。

 

 これで、ホトケノザの自由研究はおしまい。
 小学校低学年の児童だったら、文部科学大臣賞ものだったかもしれません。でも、70歳直前なので、「エライオソーム」ではなく、「えらい遅〜、無理~」な研究。