高校時代のこと その4 生物担当のお地蔵先生
いつもニコニコ、いい感じ
生物のO先生は、小柄で小太りで年齢不詳。本当は、父くらいの年齢だったのですが、私は、「田舎のお爺ちゃんみたいだな」と思っていました。笑顔を絶やすことなく、私たち一年坊主を暖かく包み込んでくれるような存在。
言い過ぎを恐れずに言ってしまうと、漫画に出てくる三頭身のお地蔵様。先生の授業中は、他の先生には申し訳ないけれど、実にほのぼのとしていました。
ある時、О先生が宿題を出されました。
進化について学習をしていた時のことです。
「君たちは、未来の人類がどのように進化していると思いますか。絵に書いて提出してください。」
未来人は宇宙人?
我々は、
「高校生にもなって、漫画みたいな絵を書くのはどんなものなのかなぁ。」
と思わなくもなかったのですが、小難しい宿題を出される方が困ってしまいますので、どちらかというと嬉々として作業に取りかかった次第。
次の授業の際にクラス仲間が持ち寄った「未来人の絵」は、ほとんど同じような絵。
なぜなら、人類の進化の授業で、
1 四脚歩行から二足歩行に変化した
2 脳の体積が大きくなった
3 手の働きが細やかになった
などといったことを学んでいたからです。さらに、高校受験を終えたばかりの私たちは、教えられたことをそのまま覚えることは得意でも、そこから想像力を膨らませ、先生が「あっ!」と驚くような独創的な考えを浮かべることが苦手だったからです。
どのように似ている絵ばかりだったかといえば、だいたい想像はつくと思いますが、
1 脳の容積が増えるので、頭が異常に大きくなっている
2 あまりにも頭が重いので直立することができず、前かがみになっている
3 あまり歩かなくなるので、足が細く、かつ短くなってしまっている
という想像上の宇宙人みたいな絵が大半でした。
これらの想像力欠如も甚だしい絵に対して、O先生がどのようなコメントをされたのか・・・覚えておりません。
おそらく、あきれ果てて、コメントする気力も起きなかったのでしょう。
その後の日本人の「進化」といったら
さて、人類のその後の進化ですが、何世紀を経過するまでもなく、我々の予想は完全に外れてしまいました。
私たちの世代の大半は、足が短いのです。未来人ほどではありませんが。
その代わりということなのか、釣り合いを付けるということなのか、胴が長い。頭もでかいので、八頭身なんて絵空事と思っていたものです。
それがどうでしょう。栄養状態がどんどん良くなり、畳に座るような生活がなくなって足の負担が減ったからでしょうね、日本の若者の平均身長がぐんぐん伸び、これに逆比例するように座高が低くなっていったではありませんか。
我々の予想は、何千年も待つ必要はなく、わずか数十年で完全に外れてしまいました。少なくとも日本においては。
そのようなわけで、
「もう少し後に生まれて、八頭身は無理でも七頭身ぐらいにはなって、足もすらっと伸びていたらいいなぁ。小顔になりたかったなぁ。」
などと、クラス会でぼやく我々なのでした。
今日の夕焼け
間に合いませんでした。でも、残照がなかなか素晴らしかったですよ。
月齢は、13.7。もうすぐ満月です。