四方向とも「清水の舞台」! 笠森観音
日曜日からの1泊2日のゼミ仲間旅行、2日目、奇観の津々ヶ浦を堪能した私たちは、帰路、長生郡長南町の笠森観音に寄り込みました。
4人とも、山仲間だったのですが、そのうちの一人、I君は登りが苦手。
いつも、
「もうダメだ。一歩も歩けない。」
という彼を、後から、
「休むな! 逆にばてるぞ。一歩ずつ足を前に出せ。」
と励ますのが私の役目でした。
最近は、1階から2階に上がるのも嫌がる始末で、津々ヶ浦でも、海岸にちょこっと降りてきただけ。
笠森観音については、宿の若いスタッフから、
「ああ、あそこは、かなりの登りで・・・」
と聞いていたので、
「僕は、下で待っているから、3人で行っておいで。」
そんなわけで、駐車場からの急な参道を登ったのは、3人のみ。
途中に「芭蕉の句碑」があります。
「五月雨にこの笠森をさしもぐさ」
とありますが、芭蕉が笠森観音を訪れたという確証はないようです。したがって、本当に芭蕉の句であるかどうかには「?」が付いているらしい。
句の意味は、
「おやおや、五月雨が降ってきたぞ。困ったな、笠がない。ああ、そうそう、ここは笠森観音だったな。慌てず騒がず森の中に入りこむことによって、『笠森を笠の代わりにさす』と洒落てみようか。おや、さすと言えば、蓬の草(さしもぐさ)も青々としていることよ。」
といったところでしょうか。
句碑の裏側が、鎌倉によくある「やぐら」によく似た感じがします。「やぐら」とは中世の墳墓のこと。三浦半島に多いのですが、房総半島にもあるとのことなので、もしかしたら、「やぐら」なのかもしれません。
(写真なしで恐れ入ります。)
急な参道を登りきり、二天門を潜ると、観音堂がドドド~ンと眼前に姿を現します。
私は2回目なので「どひぇ!」とまでは驚きませんが、他の2人は初めての体験。
「うわぁ、何だこれ! すごい、すごい。」
と大感激。
階段の下の方で、赤い服の人が屈み込んでいますが、ここで土足からサンダルに履き替えてお参りすることになります。
階段の上の方には、欄干に手を添え、慎重に登っていく人も見えています。
京都の清水の舞台同様の懸崖造り(懸造り、舞台造りとも。)です。
崖を背負った懸崖造りのお堂は、日本国中、所々で見かけますね。
でも、笠森観音の観音堂は、独立した一枚岩の上に建てられているのです。崖を背負っているわけではありません。
そのようなわけで、なんと、東西南北、どの方角も、懸崖造りなのです。
日本で唯一の「四方懸造(よほうかけづくり)」ということで、重要文化財に指定されています。
石燈籠の後に、ベージュ色の木の実がびっしり生っていますが、これは、センダン。
拝観料は、階段を登りきった所で収めます。一人200円。担当の方お一人が常駐していらっしゃいます。担当の方も、お仕事とはいえ、一苦労ですね。
観音堂には、ぐるりと回廊が施されています。回廊からは、房総のなだらかな山々を眺めることができます。
高い所が苦手な人だと、くらくらしてしまう高さですが、こやんぴは、「何々と煙は高い所がお好き」とよく言われる、その「何々」なので、きゃっきゃきゃっきゃとしてしまいます。
観音堂も背高のっぽですが、周辺の樹木も、とてつもなく大きいことが分かります。
「国指定天然記念物笠森寺自然林」として大事にされているとのことでした。
観音像が向いている方向からも撮影してみました。他の写真に写っている階段は、この写真では右側に見えます。
大きな一枚岩の上に建てられたことがよく分かると思います。