庭の穴の主の正体は?
穴の女王の警戒心
我が家の庭の土は、昔の農家の土間か、農作業をする中庭のような土。
したがって、生えてくる草は、スズメノカタビラ(昨日のブログには、間違えてスズメノテッポウと書いてしまい、慌てて修正しました。)、アメリカフウロ、ナズナ、コオニタビラコ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、キュウリグサなど、田の畦道そっくり。
そんな土だからでしょうか、その昔、夏休みで親戚の子が勢ぞろいしたときに、彼ら(女の子たちは「気持ち悪い」と言って近づきませんでした。)と「釣り上げ競争」の対象としていた「?????」が住み着いたのは。
昨日のブログの写真には、ぽっかりと開いた穴の持ち主である「?????」の姿は写っていませんでした。
実は、「?????」の警戒心はかなり強く、私たち人間の靴音が近づいただけで、巣穴の奥深くに籠ってしまうのです。
「?????」の写真を撮るためには、穴のすぐそばに座り、そのまま動くことなく、ひたすら我慢してお出ましになるのを待つしかありません。長期休暇中の子供たちや、こやんぴのような「ずうっとガキンチョ」でなければ、そんな悠長な真似、なかなかできるものではありませんね。
穴の主が現れた
(シャープな写真でなくてごめんなさい。)
待つこと暫し。
おや、一匹顔を出してきましたよ。
二つ並んですまし顔。(すまし顔と言っても、おひな様の優雅さとは・・・)
小さな写真で申し訳ありませんが、今のところ、これで精一杯。
よくご覧ください。ゴリラがこちらを睨んでいるように見えませんか。
見ようによっては、黒くて眼が大きなところから、フレンチブルドッグから「可愛さ」をすべて抜き取った後の姿・・・などと表現したらフレンチブルドッグをこよなく愛する人たちから、
「こやんぴ! あんたも穴に潜っていなさい。」
と叱られてしまうかな?
これが「?????」の幼虫の頭の部分です。眼は12もあるそうで、そのうちの2つがとても大きいのですが、ピンぼけ写真では分かりませんね。ごめんなさい。
穴の主さん、君の名は?
「?????」で表現してきた穴の持ち主の名前を、引っ張りに引っ張ってきたのですが、いよいよ公開させていただきます。
「ハンミョウ」です。
カブトムシ、クワガタムシ、カミキリムシなどと同じコウチュウ目に属しています。コウチュウ目の昆虫の成虫は、全身が甲冑のように硬く、前翅も鎧のようにがっちりしているのが特徴です。まさに「甲虫」です。
ただし、穴の持ち主は、ハンミョウの幼虫で、ちょっと変わった形の芋虫なのです。
最初の方で書いたように、昔の子どもたちは、この幼虫をニラの葉っぱを使って釣って遊んでいました。ですから、ニラムシとも呼ばれています。
ニラムシ釣りとは?
穴にニラの葉っぱを入れられたニラムシは、
「くっせえなぁ。誰だ! 俺の家にこんな臭いもの入れたのは。おーい、隣の穴のいもこちゃん、消臭剤は無かったっけ? えっ、『有るわけないよ!』だって? あー、臭くて堪んねえ! しょうがねえや、さっさと外に押し出すとすんべえか。」
(このニラムシ、土着なので埼玉弁丸出しです。)
ニラムシは鼻を摘まんで(あくまでもこやんぴのイメージです。)葉っぱの底の部分を強力な顎でがっちりと掴み、慎重に、慎重に、少しずつ、少しずつ、ニラの葉を押し出しにかかります。
すると、外で様子を伺っている悪童たちには、ニラの葉が風によるそよぎとは明らかに違う不自然な動きをするのが見えるのです。
頃合いを見計らって、ニラの葉をスイッと引き出すと、ニラムシ君はニラの葉の根元をがっちり咥えているものですから堪りません。あっという間に釣り出されてしまうのです。
釣り出されたニラムシは、哀れ、小魚やエビガニ釣りの餌となってしまうのでした。
成虫は、空中を優雅に飛び回ります。そして、意外なことに、タマムシほどではありませんが結構きれいです。
川遊びに行く子供たちの前を、ハンミョウは飛び回ります。まるで道案内をするように。ですから、ミチオシエとも呼ばれます。国土交通省の道路関係のパンフレットにも登場し、道路のPRを担当しています。
ハンミョウについては、次のサイト(安心なサイトです。)に詳しく掲載されています。
成虫のきれいなことに驚かれることと思います。
そして、幼虫のおどろおどろしい姿も確認することができます。腰を抜かさないように気をつけてください。
他の芋虫と違って、へっぴり腰のようになっているのは、このへっぴり腰の先の突起で巣穴をがっちりと掴み、獲物が逃げようとして引っ張っても、巣から自分が抜け出ることのないようにするためなのです。
http://www.insects.jp/kon-hanmyohanmyo.htm