『やりなおし高校地学』を読み終えて
ちくま新書の『やりなおし高校地学』を読了しました。
後半になるにつれ、読書のスピードが増したような気がします。
初めて知る事柄も多く、勉強になりました。
私が高校1年生の際に履修した「地学」の教科書には、まだ、プレートテクトニクスに関する記述がありませんでした。1966年のことです。
すでに学会ではプレートテクトニクスに関する論文が多数発表されていた時期なのですが、教科書は学会の最先端の事柄にはなかなか対応しきれないもののようです。
このため、日本列島の近くに1万メートル級の海溝があること、太平洋をぐるりと囲むように火山の列があること、海山が規則正しく並んでいることなどの謎は、当時の地学の授業では解き明かされませんでした。
大学に入るころになると、雑誌「ニュートン」などにより、プレートテクトニクスの概要が詳しく紹介されるようになりました。これらの謎が一気に納得のいく現象となったのは、霧が一気に晴れるようで、実に印象的でした。
もっと古い話になりますが、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、「午后の授業」から始まります。ジョバンニはアルバイトで忙しいので、銀河に関する先生の質問にうまく答えることができませんでしたね。
その中で、先生が、
「私どもの太陽がこのほぼ中ごろにあって地球がそのすぐ近くにあるとします。」
と話す箇所があります。
これをもって、宮沢賢治が銀河系における太陽の位置を銀河系の中心にあるものと考えていた、とは言いませんが、面白いことに、銀河の中における地球の位置が確定するのが、ちょうど賢治の生きていた時代だったんですよね。
太陽系って、銀河系の中の中心どころか、外側の渦の、しかもそれが薄い部分、本当に隅っこ。味噌っかす扱いです。
でも、銀河系の中心には巨大なブルックホールの存在が想定されていますので、本当に中心近くに太陽系があったら、ブラックホールに飲み込まれてしまいそうで夜も眠れません。もしブラックホールがなかったとしても、恒星だらけなので、夜でも明るいので、本当に眠れないかも。
そういった意味では、端っこにあってよかった、と言えるかもしれません。