「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

ヒナゲシの咲く休耕田に出会って

ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟われも雛罌粟

 

f:id:koro111koyampi:20200512221522j:plain

 

 保健の先生を除き、教師も生徒も男だらけの高校に通っていました。

 当時の教科書は最近のカラフルな教科書とは違い実にシンプルなつくりでした。したがって、国語の教科書に載っていた情熱あふれる与謝野晶子のこの歌にも、真っ赤なひなげしの写真どころか単色のイラストすら掲載されてはいませんでした。

 

 それでも、恋に恋していたその当時のことゆえ、この歌に接した途端、私の頭の中では、フランスの田舎道の傍らに咲く一面のひなげしの花が風にゆらゆらと揺れ始めていたのです。授業に集中しなければならないのに。「君」は中学時代に隣の席にいたあのこ、そして、もちろん「我」はこの私。

 

 今朝の散歩で見かけたヒナゲシは、私にとって「ひなげし」であってはならず、「雛罌粟(コクリコ)」でなければなりませんでした。何十年たっても、あの教科書を、あの歌を、あの時思い描いた光景を忘れることがないんですよね。

 

f:id:koro111koyampi:20200512222238j:plain