キツネノカミソリの自生地がますますやせ細って
ナツズイセンの咲き出すのが早かったので、もしかしたら、そろそろキツネノカミソリも咲き出すのではないか、そう思って、キツネノカミソリの「群生地」に出かけてきました。
あれまぁ、咲き出しどころか、花を終えてしまった株が多数。ちょっと出遅れたようです。
しかも、今年は、花茎が異常に少ない。
その昔は、キツネノカミソリの大群落だったのに。
実は、キツネノカミソリの大群落がやせ細った原因は分かっているのです。
公園予定地の未整備地区の自然林を、埼玉県知事が「ボランティア」に整備を任せた結果。
「県に予算が無いならば、ボランティアを活用せよ。」、「金は出さないぞ。ボランティアは探せばいるはずだ。つかまえてこい。」と、様々なセクションにはっぱをかけたのです。そんなことを言われても、時間を掛ければともかく、すぐには適切なボランティアが見つかるはずはありません。
でも、すぐに結果を出さないとトップの期限が悪くなってしまうかも。
そこで、「(ずる)賢い部下」は考えました。
「そうだ! 業者にボランティアをやらせよう!」
業者さんなら、本来の仕事欲しさに、知事の「ボランティア」活動に協力してくれるだろう。
てなわけで、自然林は、公園整備業者が無償で管理することになったのですが・・・。
(道路の清掃も、埼玉県では、建設業者などが「ボランティア」に「指定」され行っていることになっていますが、当地では、まじめに取り組んでいるとは思えません。自発的ボランティアの高齢者が、誰にも言われることなく、日々、道路清掃に勤しんでいます。)
もともと彼らは公園整備が専門。自然林の管理に関してはずぶの素人です。
遊歩道だけ整備すればよいものを、森林内を都市公園管理の手法で定期的に除草。しかも徹底的に。森林の世代交代をするために芽生えていた幼樹の命まで奪ってしまったのです。
この結果、大きな木が枯れたり風害などで倒れてしまった後、自然林であれば、後に控えていた幼樹が育ってその穴を埋めるので、林がスカスカになることはありません。でも、次の世代を継ぐべき幼樹をきれいさっぱり刈り取ってしまったのですから、戦後、河川敷の耕作地が閉鎖された後に、自然の力だけで育った武蔵野の豊かな自然林は、悲しいほどスカスカになってしまいました。
下草の植物たちも、刈られても平気な種類は残りますが、そうでない種類はどんどんその姿を消していき、代わりに外来種などが侵入し始めています。
キツネノカミソリも、「ボランティア」が入る前は、林の木漏れ日の下で生き生きと育ち、それはそれは見事な大群落でした。それが、今では、直射日光に痛めつけられ、乾燥が進んでいることもあるのでしょうか、悲しいほど少なくなってしまったのです。
もうすぐ知事が交代します。次の知事には、この問題だらけの「ボランティア」制度による自然破壊を止めるように進言するつもり。自然林の保護に詳しい人材は県庁内にもいるはずなのだから、彼ら彼女らが音頭を取って、林業系の大学の先生や自然保護団体の知恵も借りながら、「ボランティア」の人たちに、自然林の適切な管理を学んでもらうようにすべきかな、地域の人間もできることは協力する体制にできたらさらに良いな、そう考えています。
なにせ、埼玉は、将来を見据えて明治神宮の森を整備した人物の一人、本多静六博士の生まれた県なのですから。