偶然続きの草津旅 その1
草津へ直行のはずが・・・
今回の「御代田~軽井沢~草津」旅のレポート、一日目からではなく、二日目から始めます。
朝10時に宿を立ち、中軽井沢から一路草津を目指そうとしていたところ、妻が、
「大城レースに寄りたい。」
と言います。
夏休みで混みあっている軽井沢宿に入り込み、さらに中軽井沢まで戻ってくるのはかなり時間をロスすることになりますが、仕方がありません。私の頭の中の予定を消しゴムでごしごし消して、東へと走ります。
幸い、道はそれほど混んでいなかったので、軽井沢宿には意外に早く着くことができました。
妻が大城レースで買い物をしている間、私は、駐車場付近のキノコや休憩所まわりの花の写真を撮ったり、休憩所で一休みしたり。
幸い、妻の買い物もスムーズに終了。
山百合が満開だった万平ホテルでもちょっと買い物をして、いざ、草津へ。
草軽交通の有料道路で
軽井沢宿から国道で中軽井沢まで戻ると、ちょっとした渋滞にはまりそう。
これに対し、草軽交通の有料道路を使用すると、「三角形の二辺の和」である中軽井沢コースに比べ「他の一辺」なので距離的にもずっと近いですし、白糸の滝付近が渋滞していなければ時間的にもかなり有利。
ということで、「他の一辺」コースを選択しました。料金は400円。
これが大正解。鬱蒼とした林の中を走るので涼しいこと限りなし。幸い、白糸の滝付近もそれほど混雑していなかったので、あっという間に群馬県境。
料金所手前の温泉旅館には、我が家の二代目ワンコであるコロちゃんと何回か泊まったこと(旅館にワンコは入れないので、コロは車中泊。)、周辺を散歩したことなどが思い起こされました。
お昼はどうするの?
ドライブは実にスムーズ、犬塚の交差点を過ぎ、草津が近づいてきました。
お昼も近づいてきました。
さて、昼食はどうしましょう?
よく行く蕎麦屋さんは、残念ながら、木曜日の今日が定休日。
少し登ったところに、オヤマボクチをつなぎに使った蕎麦を出す萱葺きの店があり、ここを選択。前に一度利用したことのある店です。
そうそう、思い出しました。キュウリを自由に食べることができるんです、この店は。席に着く前にキュウリを小皿に盛っていたら、先客たちが私のことをじろじろ見ています。じろじろ見ていないで、自分たちも食べたらいいのになぁ、と思わないでもありませんが、そうそう、私の知り合いの童話作家さんは、
「私、ウリ科の植物の生まれ変わりなんです。キュウリは食べられないんです。」
と言っていましたっけ。先客たちはキュウリがあまりお好きでないのかも。
ソバの他に味噌田楽も注文しました。
これは手打ちの蕎麦よりずっと早く来たので、空腹に心地よい満足を与えました。
ソバは、こんな感じ。私は美味しくいただきましたが、妻によると「オヤマボクチつなぎ」はちょっと、とのこと。好みがありますからね、感想はいろいろかも。
草津の宿に着く
草津の旅館街に着く少し手前の道路に溝が切ってあり、「草津良いとこ~、一度はおいで」のメロディが聞こえる箇所があります。
そこにさしかかる少し前、私が、
「ふふふふふふ~ふ、ふふふ~ふ、ふふふ」
と、メロディの物まねをしたら、妻が大喜び。
そして、実際のメロディが聞こえ、物まねに実によく似ているので、もう一度大笑い。
順調に草津に到着したので、まだ、午後1時半。
宿に入るには早すぎるの時間ですが、取りあえず、手続きだけでもすることにして、宿に向かいました。午後3時までは、そこら辺をぶらぶらしていよう、という算段。
「今日予約しているこやんぴです。チェックインの手続きだけしに来ました。」
そう申し上げると、ご主人から、
「もう、お部屋の準備はできていますので、どうぞ荷物をお持ちください。あ、荷物はお持ちしますよ。お風呂も入れますよ。」
と、思いもかけないうれしいお申し出。
お言葉に甘えることにして、チェックイン手続きをしていたら、女将さんが、
「お部屋はお二階になります。ところで、お部屋には椅子があった方が良いですか?」
と聞いてくれたので、
「妻が畳に長い時間座るのが苦手なので、その方が良いのですが。」
と答えると、予定されていた部屋が別途の部屋ではあるものの畳座りの部屋だったので、急遽、テーブルと椅子のある部屋に変更してくださいました。なんと言うご配慮。
外観は一時代前の建物なのですが、部屋は最近リニューアルされたばかりのようで、とても綺麗。ちょっと乙女チック。爺様には似つかわしくありませんが、精神年齢が永遠の5歳の私には似つかわしいかもしれません。
窓を開けると、清々しい高原の風が入ってきます。
ふと、下を眺めると、松の根元に何やら白い物体が・・・。
何なんでしょう、これ?
ポップコーンみたい。
後で、宿の方に聞いてみることにしましょう。
取りあえずは、お風呂に入らせていただきます。
まだ2時頃なので、誰もお風呂にはいません。そもそも、脱衣場も、浴場も、電気が点いていませんでした。電気を点けて、広いお風呂を独り占め。万代鉱源泉のお湯は、皮膚をピリピリと刺します。これが効くのでしょうね。
おや、外は大雨。激しい夕立です。
こんな雨の中、外を歩いていたらずぶ濡れになっていたはず。早く宿に入れた幸福を実感しつつ、露天風呂にも浸かり、
「雨も良いもんだなぁ。」
と余裕しゃくしゃく。
妻によると、女性用のお風呂に後から入ってこられたお客さんは、ちょうど大雨が降り出した頃に宿に到着したので、ずぶ濡れになってしまったとのこと。
私たちはなんとついているのでしょうか。
湯畑と地蔵湯に向かおうとして
宿の万代鉱源泉を堪能した後、手拭い一本引っさげて、「地蔵の湯」に向かうことにしました。地蔵湯源泉を引いている宿は少ないのですが、「地蔵の湯」は、地元の方たちだけでなく観光客も無料で利用できる熱々の温泉なのです。
宿を出ようとすると、女将さんが、
「今夜のお祭りは見に行かれるのでしょ?」
と仰います。
「えっ、お祭りですか?」
私たちは、下調べをしていなかったので、この日が年に一度の大きなお祭りの行われる日であることをまったく知りませんでした。
年に一度、温泉女神が降臨し、いくつかの源泉を一つに合わせ、草津に数多く存在する湯処にそれを分配するというなかなか厳粛な行事のようです。
これは見学せずばなりますまい。
そう言えば、宿の入り口に、温泉女神さんの写真と祭りに使われるらしい大きな湯桶が展示されているではありませんか。各旅館に、このような展示があるのかな、そう思っていたら・・・。
その展示をよくよく見て、びっくり仰天。
この宿のお嬢様が二代前の温泉女神さんだったのです。
お祭の当日に出くわしただけでも偶然なのに、宿のお嬢様が最近の温泉女神だったなんて、何という奇遇。
夕食の前に、会場となる湯畑を下見した後、地蔵の湯に入ることとし、宿の方に近道を教えてもらうことに。そうしたら、なんと、なんと! フロントには、二代前の温泉女神さまが降臨!
温泉女神さまから、丁寧に湯畑への近道を教えていただいたこやんぴは、意気揚々と湯畑、そして、地蔵の湯へのミニ散歩に出かけたのであります。
(続く。)