「掃き溜めに鶴」ならざるキク
この花は、とても小さな花で、直径5ミリメートル前後。
真っ白な舌状花が5つ、その一つ一つに切れ込が生じ、「山」の字に似ているのが可愛らしいですね。頭状花のつくりだす蜂の巣状の模様もおもしろい。
北アメリカからやってきたキク科の可憐な花。
この花の不幸は、大正時代に、植物学界の大物、牧野富太郎博士によって、「よりによってこんな所で」という場所で見つけられてしまったこと。
その「よりによってこんな所」とは・・・
東京のとある掃き溜め。
このため、牧野博士は、このキク科の植物に「ハキダメギク」という名前を付けたのでした。この菊に日本語が話せたとしたら、
「他の場所に咲いているところを見つけてほしかった。」
と嘆いているかもしれません。
でも、ハキダメギクよ、ふてくされることなかれ。
「掃き溜めに鶴」という言葉もあるのだから、「掃き溜めに咲いていたけれど、よく見れば可愛い花じゃないか。」と思ってくれる人だって、けっこういると思うよ。