ルリタテハの蛹化と羽化
我が家のタイワンホトトギスは、今、満開の時を過ぎ、次々と実をつけています。
我が家の庭では、殺虫剤を使用しないので、毎年、この時期になると、タイワンホトトギスも、ビオラ・ソロリアも、同じタテハチョウ科の幼虫によって、丸坊主にされてしまいます。
ところが、今年は、天候不順の影響なのか、タイワンホトトギスを食草とするルリタテハの幼虫も、ビオラ・ソロリアを食草とするツマグロヒョウモンの幼虫も、あまり見かけません。いるにはいたし、葉も食べられてはいるのですが、蛹になっている個体をとんと見かけません。どうしたことでしょうか?
終齢幼虫は、両者ともグロテスクです。ツマグロヒョウモンは真っ黒クロスケ、ルリタテハはケバケバ。
何年か前の10月初旬、ルリタテハの終齢幼虫が蛹になる場面に出くわしました。
大きな終齢幼虫がぴたりと動かなくなったと思ったら、ホトトギスの茎にお尻を固定するや否や、みるみる体が縮み、コンパクトな蛹になってしまったのには驚きました。
それから10日ほどで、蛹は蝶に変身しました。
ちなみに、蝶は、蛹の殻の中で、毛虫の姿から徐々に蝶へと姿を変えるのではありません。蛹の中は、最初、一部の神経系統などを除いて、どろどろの液体状態になるのです。蛹の中で、一から蝶の体を作るのです。びっくいですよね。
蝶に変身完了!
えっ、これがルリタテハ?
まるで、木の幹か、枯れ葉みたいではありませんか。
そうなのです。ルリタテハは、翅を閉じて木の幹に止まっていると、発見しにくくなるのです。鳥からの攻撃を避ける知恵なんでしょうね。忍者も裸足で逃げ出すほど。
今秋、2階の物干し場に枯れ葉がくっついていたので取り除こうとしたら、なんと、ルリタテハでした。顔馴染みのはずの私が騙されてしまったのですから、たいしたものです。カメラを取りに行き、いざ撮影しようとしたら、サッと逃げていきました。
ルリタテハは、高速で飛ぶことのできる蝶なので、あっという間にいなくなってしまいました。多分、我が家のホトトギスを食べて育った個体だったことでしょう。写真が残せず残念でした。
翅を拡げると、まるで宝石、瑠璃の色。
瑠璃色に輝くルリタテハは、なんと、成蝶のまま冬を越します。
いくら高速飛行が得意とは言え、この時期でも鳥やトンボなどの天敵は多いし、これから寒くなるので、変温動物にとって過酷な環境に晒されます。蛹のまま冬を越せばいいのになぁ、と思いますが、ルリタテハにはルリタテハなりの事情があるのでしょう。
春先に、翅がぼろぼろのこの蝶をを見かけたら、それは、何とか厳しい冬を乗り越えた幸運なルリタテハなのです。