クイズ 林檎の果実ってどこの部分? を考える
花の構造・・・子どもの頃、習いましたよね
小学校の理科の時間に、「花」の構造について学習することがあったように記憶しています。
上向きに咲く花の模式図が描かれていて・・・
花の基部に「萼(がく)」があります。
そして、その上に「花びら」が開き、
花びらに囲まれた内側の中央部に「雌蕊(めしべ)」があって、
それを取り囲みように「雄蕊(おしべ)」がある。
雌蕊の基部はちょっと膨らんでいて、「子房(しぼう)」と呼ばれています。
先生は、こう言いませんでしたか?
「受粉が行われると、子房がどんどん膨らんで、それが『実』になるのだよ。」と。
そして、
「実の中には『種』があるんだよ。」と。
肝心なことはすぐに忘れ、どうでもよいことはしっかりと記憶しているこやんぴは、よ~く覚えています。
そして、つい最近まで、「果物というものは、子房が膨らんだものなのだ」とばかり思い込んでいました。
たとえば、桃や柿などの場合は、これで正解。
写真は、柿の実。
頭に付いているのは、「へた」と呼んだりしますが、「萼(がく)」だった部分です。そして、赤く色づいている部分は、子房が膨らんだものです。教科書どおりですね。
桃なども同様です。
イヌマキの実でびっくり
ところが、数年前のこと、果物ではありませんが、イヌマキの「実」が、この常識に当てはまらないことを知りました。イヌマキの「実」は、丸い「実」が二つ重なっていて、まるで花見団子のよう・・・
この件については、以前、ブログに書いたところですが、二つ繋がった「実」のうち、子房が膨らんだ本当の実は先頭の方だけ。後の方は、花の基部にあって花を支える役割をしていた茎の一部、花托(かたく)が膨らんだものなのだそうです。
本当の実は毒があり食べられず、花托が膨らんだ方は甘くて食べられる。
「へ~、面白いなぁ。」
そう思ったものでした。
林檎の方がすごかった
ところが、もっと驚いたことには、林檎や梨は、子房の膨らみと花托の膨らみの二段重ねどころか、花托が子房を包み込んでいるのだそうです。
下の林檎を半分に切った写真をご覧ください。
私たちが、
「林檎の実はおいしいなぁ。」
と言いながら、あるいは思いながら、場合によっては何も考えずに食べている「実」は、何と、花を支える基部である「花托」が膨らんだものだったのです。
そして、林檎を食べるに当たって、多分切り取って捨ててしまったであろう「芯」の部分こそが、種を包み込む役割を果たしている「正真正銘の実」、子房が膨らんだ「本家本元の実」だったのです。
驚くべし、私たちは、梨や林檎の本当の実を、無造作に捨てていたのです。
こやんぴの小学校時代には、植物の実について例外まで教えようとすると、子どもたちが、
「訳分かんな~い! もう、理科なんか嫌い!」
となってしまうに違いない、それでは困る・・・といった忖度があったのでしょうか。それで、代表的な例だけ教えていたのかな。
下の写真のとおり、本当の「実」は「真果」と言い、私たちが食べている部分は「偽果」と呼ばれます。
越路吹雪の歌の文句じゃないけれど、なんて酷い言い方。
ちょっと、林檎の「偽果」の部分が可愛そうになってしまいますね。
それでは、林檎は、花を咲かせた後になって初めて、花の基部にある花托が膨らみ始め、上部にある子房をぱっくりと包み込むようにして育つのでしょうか?
もしそうだとしたら、林檎畑において、花から実になるまでの間に、花托が子房を呑み込むような驚くべき変化が確認できそうなものですが、そのような現象が起こっているという話は聞いたことがありません。花が散ると、ただ単純に実が膨らんでいくようにしか見えません。
どういうことでしょうか?
こういうことらしいです。
林檎や梨は、すでに花の段階から、子房の大部分を花托が包み込んでいるのです。それで、偽果が真果をやさしく守りながら大きくなり、美味しい林檎となるのです。
ちなみに、苺の実も同じ。私たちは「おいしい、おいしい」と花托を食べているのです。
そして、実の表面についている黒い粒々こそが、本当の実。
種ではありませんよ。種は、黒い実の中に隠れているのです。
あんなに粒々があるのは、一つの花の中に多くの雌蕊があって、そのそれぞれが実になるから。
おまけ
木の廻りに散らばるこれは何でしょうか?
そうです。銀杏(ぎんなん)です。
「銀杏ってイチョウの実でしょ?」
私も、そう思っていました。
それが違うんですよ。
意外にも、実ではなくてイチョウの種。
イチョウは、裸子植物ですから、被子植物とは違って子房はありません。ですから、種が実に包まれているはずなどないのです。
我々が、
「銀杏の実の部分は、臭いからなぁ。」
と言いながら、「種」を取り出したりするのですが、「臭いからなぁ」の部分も含め全体が種だったのです。驚き。