フユノハナワラビ
川越水上公園の桜並木の根元のそこかしこに、フユノハナワラビの胞子葉が立ち上がりだしました。
《 フユノハナワラビ すっと立ち上がっているのが胞子葉、根元に広がっているのが栄養葉。初秋に芽生えます。胞子葉は、胞子を飛ばした後枯れてしまいますが、栄養葉は、常緑のまま冬を越し、春に枯れます。 》
フユノハナワラビは、ハナヤスリ科に属するシダ植物です。立ち上がった胞子葉が花穂のように見えるので、「花蕨」。
珍しくもない植物ですが、ある意味では「人間に助けられて生きている」というところが珍しい。
フユノハナワラビは背丈が低いので、他の植物がぐんぐんと背を伸ばし、小さな草を覆い尽くすような場所は苦手。光合成ができずに枯れてしまうからです。
ところが、都市公園の林地は、定期的に下草刈りが行われるため、フユノハナワラビを覆い隠すような草は育ちません。フユノハナワラビにとって、こんな都合の良いことは、そうそうあるものではありません。
その上、ジミとしか言いようのない植物ですから、よほどの暇人でもない限り興味を示したりはしませんし、そもそも目立ちません。ですから、子どもに引っこ抜かれたり、「花盗人」に持ち去られたりする心配も少ないのです。