カメムシと寄生バエのニアミス
様々な植物に寄生し、最終的にはその植物を枯死に追い込むアメリカネナシカズラ。
そのネナシカズラから栄養を奪い取るマダラケシツブゾウムシ。
そのゾウムシがネナシカズラの茎の中に入り込むことによって生じるネナシカズラコブフシという名の虫こぶ。
その虫こぶから栄養を分捕るカメムシがこれ(下の写真)。
なかなか名前が分かりませんでしたが、どうやらブチヒゲカメムシ。触角が白と黒の斑なので、斑髭(ブチヒゲ)。
クサギカメムシやホオズキカメムシに似ているので辿り着くのに苦労しました。
このカメムシがブチヒゲカメムシと判明することにより、驚くべきことを知ることとなりました。
上の写真をご覧ください。
上方に、花の蜜を舐めに来た「アブ」。下の方に、虫こぶかネナシカズラの蔓に取り付くカメムシ。
お互いに食べ物が競合することはありません。したがって、喧嘩も起ころうはずがありません。平和な光景・・・
と思いきや、この2頭(匹)は不倶戴天の敵なのです。
この「アブ」が成虫になる前、どこにいたと思います?
驚くべし、すぐ側にいるブチヒゲカメムシの同類の体の中。
アカヒョウタンハリバエという名の寄生バエだったのです。
もちろん、このハリバエも、このカメムシの仲間の身体を食い荒らして世に出てきたことなど覚えていないでしょう。
同様に、カメムシ側も、ハリバエが自分の仲間を犠牲にして育ったことなど知る由もないはず。
そうだからこそ、二つの個体とも、相手のことなどまったく興味がない様子で、それぞれの食事に専念していられるのかもしれません。
ただし、産気づいたハリバエの雌は、本能に基づきブチヒゲカメムシに卵を産み付けるのでしょうね。躊躇することなく。