「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

「愛蝶家」という名の・・・

 樹液を吸いに集まってくる昆虫の中に、それはいました。

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 昨年、我が家の庭に、この蝶の春型がやってきました。私が、ぼやーっとではなくこの蝶を見つめたのは、これが初めて。

 春型の蝶には、こんなに鮮やかな赤い星がありませんので、個体数を減らしているゴマダラチョウが、わざわざ我が家にまでやってきた・・・最初はそう思い、小躍りして写真を撮りまくりました。

 

 でも、調べてみると、ゴマダラチョウとは、翅の模様が微妙に違う。

 様々な検索を試みて、やっとアカボシゴマダラであることが分かりました。

 

 その後、川越水上公園の地面で水を吸っている個体を見かけ、さらには、エノキなどで構成される雑木林で飛び交っている姿を見かけるようになりました。

 

 きれいですよね、この蝶。

 でも・・・・

 

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 ネットで調べて驚きました。この蝶、南方のアジア出身だったから、ということもありますが、なぜ、最近になって急に見かけるようになったか、その理由を知ったからです。

 

 アカボシゴマダラは、もともと、日本にも分布しています。ただし、奄美諸島など限られた地域のみ。

 

 ということは、南風に載って、関東まで、川越まで流れ込んできたのか。

 

 違います。そもそも、奄美諸島などの個体と、川越まで流れてきた個体とでは、亜種レベルで違っているらしいのです。流れ者の赤星君は、もっと南方系の蝶なのです。

 

 ということは、アサギマダラのように、まるで渡り鳥のような「渡り」をして川越にやってきたのか。

 

 それって、すごい、大感激! と言いたいところですが、それも違うのです。

 

 じゃあ、どうして?

 

 ネット情報によると、さいたま市の旧浦和市にある秋ヶ瀬公園に、20世紀末、突如出現したのだとか。その後、秋ヶ瀬公園では一時見かけなくなったのですが、関東地方のあちこちで、ぽつんぽつんと発見されるようになっていき・・・

 

 今や、川越水上公園内でよく見かけるばかりではなく、猫の額の我が家の庭にまで、ごく普通に飛んでくるほど、個体数を増やしているのです。

 

 なぜ、突如として秋ヶ瀬公園に出現したのか、その後、関東各地に点々と出現する地域が出てきたのか。

 

 想像されているのは、「愛蝶家」が、

「これ、きれいな蝶だから、みんなにも見てもらいたいな。」

「やっぱり自然の中で伸び伸び暮らしてもらいたいから、公園で放しちゃおうっと。」

「ほらほら、幼虫の大好物のエノキの葉っぱもたくさんあるよ、赤星君。元気で子孫を増やしていってね。みんなも喜ぶよ、きっと。」

てな発想からか、育てていた外国産のアカボシゴマダラを、エノキの生えている場所で放しまわったのではないか、ということ。

 

 一人の仕業か、複数の者の所業かまでは分かりませんが、出現の仕方からして、「放蝶」が疑われているのです。

 

「ほう、ちょう(そう)ですか。綺麗な蝶なんだから、いいんじゃないのかい。」

 

 いえいえ、よくありません。

 

 同じエノキを幼虫の餌としているゴマダラチョウ、個体数を減じつつある日本古来のこの蝶と、赤星君は生活環境が近似しているのです。

 

 かたや、雑木林の減少や、もしかすると温暖化などで、どんどん弱っていっている地元の子。

 かたや、熱帯育ちなので「温暖化最高!」な上に、「愛蝶家」がバックアップしてくれている繁殖力旺盛の新参者。

 

 勝負になりません。反則です。レッドカード、一発退場ものです。

 

 ここまで、「 」付きで「愛蝶家」と呼んできましたが、とんでもない話で、自然破壊の黒幕と言うべきです。

 釣りの醍醐味を味わうために、池などにブラックバスを放す不心得者と同じ。

 

 アカボシゴマダラには何の罪もなく、悪いのは、自然破壊の黒幕です。