温泉療法プラスアルファの旅 2日目その2(六日町市石打、同大月)
野の花館再訪
7月2日の朝食後は、お風呂が清掃中のため、前回お邪魔して充実した時を過ごした「外山康雄 野の花館」を再訪しました。
同館は、関越道の石打ICのすぐ近くにあります。
前回同様、ラッキーなことに、受付に外山さんご本人がいらして、しばらくの間、作品や植物についてお伺いすることができました。
私たち、ついています。
外山さんは、シャジンについて、
「イワシャジンと記してありますが、植物に詳しい方が、『これは、ホウオウシャジン。』と教えてくれたんです。萼(がく)が反り返っているのがホウオウシャジン、そうでないのがイワシャジンだそうです。」
と話されるなど、包み隠しのない穏やかな方でした。
萼が反り返っているので、ホウオウシャジンとのこと。
「最近暑くて、花が長く持たなくいんですよ。」
とも仰っていました。花が長く持たないと、展示替えなども大変でしょうね。
さて、今回、私たちが感激した植物たちについて、ホウオウシャジン以外もご紹介いたします。
これは、外山さんの作品。
ラン科植物のミズチドリ。
ミズチドリは湿原に咲き、こやんぴは失言に泣く。
ミズチドリは、昨年、箱根の湿性花園でたくさん見かけた懐かしい花。
この花は、下の方から花をつけていくようなので、上の方の花は咲き始め、下の方に行くにしたがって花の咲き方では先輩、ということになります。
それでは、上の方から少しずつ下に目を移していってください。咲き始めの花はひっくり返っていますよね。そして、くるりと空中回転していき、最終的に唇弁を下にしたラン科の花らしい形に落ち着くようです。
もっとも、物の本によると、この解釈はちょっと違うようなのです。
オンシジウムの多くは唇弁を上にして咲いているために、私たちは「この花、ひっくり返ってますぅ。」と思っています。けれど、一見ひっくり返っているオンシジウムのような花の方が、花の形態上は本来のあり方なのだそうです。
そして、カトレアなどのように唇弁を下にする姿の方が、ひっくり返っているのだとか。
ああ、説明があべこべなので、頭の中で何かがひっくり返りっこしています。
スノキかと思ったら、ウスノキ。
スノキもウスノキも、ツツジ科スノキ属。
スノキの実は、クロマメノキの実によく似ています。似ていますが、甘い甘いクロマメノキとは異なり、その名のとおり酸っぱい、酸っぱい。
ウスノキの実も酸っぱいのかと思いきや、十分食用になるようです。太平洋側には分布していないので、始めて見ました。
これがウスノキの実。臼のように、真ん中が凹んでいるのが名前の由来。
ウスノキの絵。すごい描写力です。
ちなみに、外山さんは、若い頃は、植物には関心がなかったとか。
コシキジマシライトソウ。
なんと美しい。
「えっ、こんなツリフネソウ、野生にあるの?」
見たことありません。
帰宅して調べてみたら、西ヒマラヤ原産の園芸種でした。
北海道など、気温の低い地域で野生化も見られるとか。
モウゼンゴケ。
小さな昆虫が捕捉されています。
ワラビのように見えるものは、花茎。
残念ながら、開花しているものは一つもありませんでした。
外の花壇も拝見。
アカモノ。
ツツジ科の小さな植物。コケモモに似た花をつけます。
アカモノに言わせると、
「バカモノ! コケモモとはぜんぜん違うわい。アカモノじゃ、わしゃあ。」
実(み)は、確かにぜんぜん違いますが、これも、コケモモ同様食べられます。
ツバメオモトは、葉だけでも観賞価値が高い植物ですが、実の色が何とも言えませんね。
ヤナギランがずいぶん上まで咲きあがっていました。季節が駆け足なので、植物も大変です。
これは、とんだお邪魔をしてしまったかも。
宿の周りで
野の花館から帰って、宿で昼食。
我々のパックには、2泊中、2日目の昼食がついています。
この日は、キノコたっぷりのハヤシライスでした。素朴でおいしかったぁ。
昼食後は、近くのイオンや蔦屋で買い物をしたり、お風呂に入ったり、宿の周りを散策したりして過ごしました。
シシウドの花がいっぱい咲いていました。
クモキリソウの花には、なかなかピントが合わないんですよね。
スマホで撮った方がよかったかも。
地味な花ではありますが、野生蘭好きのこやんぴにはたまりません。
ホタルの里へ
夕食を終え、ネット検索をしていたら、六日町市内に「ホタルの里」があることが分かりました。
昨日の旅館周辺のホタルは、あまり多くなかったので、出かけてみることに。
宿の方におおよその道順を聞き、カーナビも、大字名の「大月」中心部に設定して、いざ出発。
国道を外れると、暗い夜道となりました。
心細い限り。
たまたま、すぐ前をタクシーが走っており、進む方向が同じ。
「もしかしたら、ホタルの里に行くのかな?」
カーナビが目的地近くであることを知らせてきたところで、タクシーは右折。
目を凝らしてみたところ、「ホタルの里」の案内標識が。
直角に左折なのか、斜め左の道を行くべきなのか、迷いましたが、斜め左の道を選択。道はどんどん細くなり、着いたところが、なんと墓地。
ここで、ぼんやりとした光が見えたとしたら、それは別のもの。
ひえ~っ、こわぁ。
慌てつつも、脱輪しないよう気をつけて、人魂の恐怖から逃れました。
もう一度、先ほど迷った道に戻り、先ほど選択しなかったもう一方の道へ。
お墓に連れて行かれたために、もう私のことをこれっぽっちも信用しなくなった妻が、
「なんで、こっちなの。どうして分かるの? あてずっぽうで迷っているだけなんじゃないの?」
と言わんばかりの顔をしています。「顔をしている」だけでなく、二言、三言。
大丈夫だってば、だって、夜目の効くこやんぴには、暗がりの案内標識が読めるのですから。
走ることわずか数分。
提灯がたくさんぶら下がった場所に、何台かの車が停車しています。
ね、ほらぁ、着いたでしょうが。
妻の信頼メーターが、マイナス方向に振りきれていたものが、ゼロまで戻ってまいりました。
よく整備された田圃道を進んでいくと、あちらにも、こちらにも、ピカリ、ピカリと光りつつ、頼りなげに飛ぶホタルの光が。
親子連れ、夫婦連れ、若いカップルなどが、息を詰めながら、虫たちの饗宴を見つめています。
シルエットでしか分かりませんが、カップルは、幽玄な光景を二人だけの思い出として大事にしたいからなのでしょうか、手をぎゅっと握りあいつつ、身じろぎもしません。
そんな~、時代も~、ああ~ったねと、こやんぴ。
うん? 有ったかな、どうだったかな。少なくとも、手を繋ぎながらホタルを見たことはなかったなぁ、やっぱり。
「こやんぴ、何を見に来たの?」
ホタルですよ、ホタル。
成虫となったホタルの役目は、子孫を残すことのみ。幼虫の時は、カワニナやタニシをむしゃむしゃと食べていたのに、成虫となると、水しか飲まない。
「あっちの水は苦いぞ、こっちの水は甘いぞ」
という歌は、本当のことだったんですね。
期待していた大群舞というほどではありませんでしたが、これほどのホタルを見たのは、ほぼ60年ぶり。貴重な体験をいたしました。
写真があれば良いのですが、撮影機材を持ち込まなかったので、拙い文章のみで申し訳ありません。