「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

これで良いのか 観光と自然との兼ね合い

自然豊かだった御射鹿池が・・・

 

 ぬかってしまいました。

 

 今週の月曜日に、茅野市蓼科高原を散策した際、「観光」と「自然」との兼ね合いについて、「なんだかなぁ」と思ったにもかかわらず、それを説明すべき写真を撮るのをぬかってしまったのです。

 

 したがって、説得力に欠けるものになってしまいますが、「観光」と「自然」との兼ね合いについて少し触れてみたいと思います。

 

 まずは、明治温泉近くにある「御射鹿池(みしゃかいけ)」。

 東山魁夷の「緑響く」は、この溜め池がモデルとなっています。画伯は、明治温泉より少し上に上がった渋・辰野館に宿をとりながら、あの幻想的な絵を描かれたのです。

 

f:id:koro111koyampi:20180517225632j:plain

f:id:koro111koyampi:20180517225657j:plain

 

 テレビ受像機の宣伝で「緑響く」が紹介され、そのモデルがここであること知られ、観光客やカメラマンがぼちぼち訪れるようになりました。

 その後、テレビで何回も放送されたことから、大型観光バスまでやってくるようになり、いつもは静かな山道が都会並みに大混雑するようになりました。

 

 そこで地元のお役所は考えました。

「そうだ 駐車場 つくろう」

 それまで数台が停まれた未舗装の駐車場を大拡張し、舗装までして、マイカーの受け入れ態勢万全。

 

 でも、大型バスまでは・・・

 そこで地元のお役所は考えました。

「そうだ バス用駐車場 つくろう」

 それまで山ブドウがたわわに実をつけていた林を切り倒し、地ならしし、あっけらかんとした大型バス駐車場が整備されました。

 

 さあ、駐車場が立派に整備されました。駐車で悩むことがなくなりましたので、ますます観光客がやってまいります。そうすると、ルールを守らない観光客が、じゃぶじゃぶと池に入る可能性があります。事故でも起これば管理者の責任になります。

 

 心ないカメラマニアが、貴重な植物を踏みつけ、三脚の先でブスブスと穴を開け、池が荒れてしまうかもしれません。管理が杜撰と非難されかねません。

 

 そこで地元のお役所は考えました。

「そうだ 『安全柵』 つくろう」

 これで、不心得者が豊かな植生や水質をかく乱することはなくなりました。

 

 でも、この柵、こげ茶色にして自然との調和に配慮したつもりなのでしょうが、一直線なんですよね。極めて人工的。せっかくの景観をかなり壊している・・・

 

 たくさんの観光客が車で押し掛ける → それでは、いっぱい来ても良いように、駐車場を整備する → 自然景観をかなり損ねる

 

 不心得者が立ち入り禁止区域に侵入するのは危険なうえに、自然破壊につながる → それでは、いっそのこと誰も入れないように柵をしてしまおう → 東山魁夷さんが作品を描いた場所には行けなくなる 自然景観をかなり損ねる

 

 先進国や、日本でも上高地などでは、あえて、観光客が訪れるのに不便なシステムとすることにより、自然のキャパシティを越えた観光客の入り込による自然破壊を押さえようとしている所もあるわけで、もう少し違うやり方があってもいいのではないかな、そう思いました。

 

 確かに、東山魁夷さんの日本画のモデルであり、話題になっていると聞けば、旅行会社としては、プランに組み入れたいと思い、観光客も、一度は行ってみたいと思うかもしれません。

 

 でも、もともと御射鹿池は、小さな溜め池です。あまり関心のない人は、観光バスから降りて、説明を聞いて、「ふ~ん。これがねぇ。なんだ、溜め池じゃあないか。土産物屋もないから何も買えないし、ソフトクリームも食べられないじゃん。次行こうぜ。」で終わりかもしれないのです。

 

 やはり、地元のお役所には、いつまでも御射鹿池の幽玄さを保つことを前提に「環境整備」をしていただきたい。

 

 まさかとは思うのですが、

「柵ができたので、湖岸まで降りられず、東山画伯の絵の境地に浸れなくなったじゃないか。こちら岸の木が邪魔なんだよ。」

などとの苦情が入って、

「そうだ 木 切ろう」・・・

なんてことには、絶対になってほしくありません。

 でも、行政は、木を切るのが大好きなので、心配です。

 

蓼科湖よ、お前もか

 

 実は、御射鹿池だけではなく、蓼科湖(これも、元々農業用の貯水池です。)でも、地元のお役所は、観光客サービスに余念がないのです。熱心なのです。

 

 蓼科湖は、護岸をコンクリートなどで舗装しておらず、斜面の土には数々の植物が育ち、貯水池とは思えない景観を楽しむことができました。

「できました」、過去形です。

 

 何を思ったのか、地元のお役所が、昨年、湖の半周ほどに歩道を「整備」したのです。プラスチック製ではなく、木製なのはまあ良いとして、これがまた直線的でいかにも人工物。したがって、対岸から眺めると、以前植物に覆われいた時の味が消え、何とも無粋。お金を使って駄目にしているとしか思えません。

 

f:id:koro111koyampi:20180517225230j:plain

 蓼科山を望む方角は、まだ無事。ただし、こちら側でも何か工事をしていましたので、次に行ったときに、こやんぴは、またがっかりすることでしょう。

 

f:id:koro111koyampi:20180517225353j:plain

 友人が写っているので、木道の全体像をご紹介できませんが、真っ直ぐなのです、ひたすらに。人柄が真っ直ぐなのは褒め称えられるべきことだと思いますが、こりゃあ、いけません。まるで別荘のベランダのお化け。

 

 それどころか、まだ1年も経っていないのに、施工を失敗したのか、その一部が傾いているではありませんか!

 その箇所は「歩行禁止」になっていました。無駄遣いの極致。