春を待つヒメオドリコソウ
シソ科のヒメオドリコソウは、冬でも枯れずにがんばっています。
競争者が少ないので、小さな葉でも、冬の太陽をいっぱいに浴びることができます。
霜が降りてもじっと我慢。華奢に見える葉っぱですが、原産地であるヨーロッパの厳しい冬でさえ乗り切ることができるのですから、日本の冬など平気の平左。
きっと、冬の寒さに遭ったとしても、大事な細胞を凍らせない「秘密の工夫」をしているのでしょう。
多くの葉は緑ですが、鮮やかなワインレッドの葉も混じっていて、スポットライトを浴びると、それはそれは高貴な存在。
とは言え、花が咲いたところで地味そのもの。ヨーロッパでは「雑草」扱いです。ほったらかしで、誰も振り向いてくれません。
輸入貨物に忍んできたのか、外国の方の靴の裏に隠れて密航を企んだのか、いずれにしても、は~るばる来たぜ日本へ。わび・さび(侘・寂)を理解する人が多いとの噂を信じ、「この国でこそ拍手喝采を浴びることができる」、そう期待していた「踊り子姫」。
しかしながら、回転寿司屋さんですら「当店はさび抜きです。わさびが欲しけりゃ、ご自分でどうぞ。え、何か問題ありますか、無いですよね。」と居直るようになってしまった現代日本、わび・さびの伝統も風前の灯。
したがって(?)、「踊り子姫」は、哀れ、日本でも雑草扱いを受ける身となりました。そればかりではなく、雑草界のなかですら注目度が低い、あまりにも低い。
同じシソ科のホトケノザと同居していることが多いのですが、
「やだぁ、このホトケノザ、花が葉っぱの蔭で縮こまってるぅ。」
などと、できの悪いホトケノザ扱いまでされる始末。
でも、でも、よくよく見てあげると、姫と呼ぶにふさわしい気品を感じます。感じてやってくださいまし。