「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

「おもんぱかる」懲りない続編

 深みにはまってしまいました。名馬「おもんぱかる」号が、

「ぱかぱか、ぱかぱか、ぱっかぱか」

と、頭の中を馬事公苑と間違えて歩き回っています。

 

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 これは早急に解決しなけらばなりません。そうでないと、こやんぴの頭脳公苑が蹄の跡だらけになってしまうかも。

 うん? そうなると、頭の中がしわだらけになるわけで、かえって頭脳明晰になっちゃうかも。ほっとこうかなぁ。

 

 いえいえ、だめです。それなりの解決をしないと、

1 もやもや感がいつまでも残る。

2 他のことに気が回らなくなる。

3 当然、散歩もおろそかになる。

4 お散歩ブログに書くことがなくなる。

5 ブログ閉鎖に追い込まれる。

6 それでも、世間様には何の影響もなし。

7 こやんぴだけ、もやもや感が百倍増。

という恐怖の連鎖が待ち受けています。

 

 「おもんぱかる」問題解決のヒントは広辞苑の中にありそうです。

 

おもん・ぱか・る【慮る】《他五》(オモヒハカルの音便。オモンバカルとも)よくよく考える。考えはかる。思いめぐらす。〈日葡〉。「相手の立場をー・る」

 

 「オモヒハカル」、「音便」、「日葡」、う~ん、ここら辺から「秘密の花園」のかぐわしい香りが漂ってきます。

 

 まずは、「オモヒハカル」から。

 「オモヒ」は、ハ行四段活用の動詞「思ふ(omofu)」の連用形「思ひ(omohi、あるいはomofi)」。下に用言である動詞「はかる」が続くことから連用形になっている訳です。

 

 この「思ひ」と「はかる」とに音便が生じた、ということですね。「ひ」が「ん」と変化するので「撥音便」です。

 

 撥音便の例を挙げると、

   「飛びて(tobite)」が「飛んで(tonde)」

 「bi」が「n」に変わり、清音の「て(te)」が濁音の「de」に変化していますね。この方が発音しやすくなるからです。

 

 さて、「思ひ」ですが、現代日本語では「思い」となります。したがって、「思いはかる」は別に言いにくくもありません。音便に頼らなくてもいいみたいですよね。

 

 では、「思ひはかる」だと言いにくいでしょうか。

 発音が「f」音のない「omohi hakaru」だとした場合を考えてみましょう。

 このままだとちょっと言いにくいけれど、「omoi hakaru」と省エネ発音すれば済みそうな気がします。百歩譲って音便にお出まし願った場合でも、「は(ha)」は「ば(ba)」に変わると考えた方が良さそうです。

 

 そうすると、「おもんぱかる」が正解ということに・・・

 「振出しに戻る状態です。

 

 さあ、ここでポルトガル語ネイティブの登場です。日葡辞書先生、どうぞお入りください。

 

 日葡辞書は、16世紀末から17世紀初めの日本人、編纂者が接することが可能だった日本人の発音を正確に反映しているといわれています。

 現段階で確認したわけではありませんが、もしかすると、編纂者と交流した日本人は、「思ひ」を「omofi」、「はかる」を「fakaru」と発音していたのかもしれません。

 

 そうすると、「omofi fakaru」。

 どうでしょうか?

 「おもふぃふぁかる」、核心部分を抜き出してみると、「フィーファー」、慣れないこともあり、なんか言いにくいですね。

 

【影の声】

 「フィーファー」を笑いのネタにしている芸人がいたね、確か。

【こやんぴ】

 あれは、「ひーはー」。

 

 え~、「ひーはー」は置いといて、「オモンパカル」問題に戻ります。

 

秀吉; 「omofi fakaru」の「fifa」が言いにくいなぁ。

利家; 両唇音の「f」を繰り返す「fifa」が面倒なんだよ。

秀吉; 後ろを「p」にするとどうかな。

    唇が開放されてい言いやすいよ。

    「b」よりも開放感が高いし。試してごらん。

利家; あっ、本当だ。

    いっそのこと、前も「ん」にしちゃえば?

秀吉; そうすると、「omompakaru」か。

    う~ん、いいね。

利家; 「mp」が最高の文字なんだよ。

    「koyampi」がよい例。

秀吉; よし、「omompakaru」に決めちゃおうぜ。

利家; 「おもんぱかる」、ばんざ~い。

 

 これでは、万歳ではなく漫才です。そもそも、秀吉と利家の二人で決めたわけがありません。

 

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 国語の大家の先生に確認してみます。

 

【数時間経過】

 

 先生にお電話してお尋ねしました。

 

 先生によると、室町時代頃までの日本語では、「はひふへほ」は「fa,fi,fu,fe,fo」と発音されていたそうです。すべての音が両唇音。唇を結んで発音していたんですね。

 ちなみに、安土桃山時代は過渡期で、江戸時代に入ると「ha,hi,fu,he,ho」に変わったとのこと。「ふ」だけが両唇音。実際に発音していただければ「なるほど」と思われるはず。ただし、私たち現代人は口を完全に閉じていません。不完全な両唇音です。

 

 あれれ、こやんぴ説、けっこういい線いっていたではありませんか。

 

 さらに、日本語では濁音化が一般的な中にあって、少数派である半濁音が生じる場合についても教えていただきました。

 一本、二本、三本の「三本」は「sanbon」と濁音化します。これに対し、「一本」は「ipponn」と半濁音ですね。「日本(nippon)」も同様。

 「ff」と連続する場合に「pp」と半濁音化するのだそうです。

 

 電話ですし、お忙しい身である先生をあまり長い時間質問攻めにするわけにもいきませんので、本日はこれまで。

 「fifa」の連鎖が「mpa」となる究極のメカニズムについては、気候がよくなって先生とじっくりお話ができるようになるまで保留箱に入れておくことにします。