おもんばかる、おもんぱかる・・・日本語は難しい
昨年、ある知事さんが、
「・・・がおもんぱかったんでしょう。」
と発言したことがありましたね。
私だけでなく、かなり多くの方が、
えっ、「おもんぱかった」???
とテレビに向かって叫んでしまったのではないでしょうか。
「しょうがねえなあ、『おもんばかる』を『ぱか』なんて言っちゃってさぁ。」
「ほんと、ほんと。パカパカパカって、それじゃあ馬の蹄の音だよねぇ。」
日本国中で、こんな会話が交わされたかもしれません。
ところが、『広辞苑』には、
おもん・ぱか・る【慮る】《他五》(オモヒハカルの音便。オモンバカルとも)よくよく考える。考えはかる。思いめぐらす。〈日葡〉。「相手の立場をー・る」
とあるではありませんか。
馬の蹄の「おもんぱかる」が大正解だったんですね。驚きました。
「ところで、『広辞苑』の〈日葡〉ってなあに?」
そこを聞いてきますか? 鋭いですね。私もよく分からないんですよ。
私の理解が間違っていなければ、「相手の立場をおもんぱかる」という表現が、17世紀初めの日葡辞書(日本語をポルトガル語で解説した辞書)の中に用例として記されているという意味ではないかと。ポルトガル語表記で正確に「ぱかる」と書かれているのでしょう、自信ありませんが。
なぜ、こやんぴが急にこんなことを書き始めたかというと、昨日のブログの標題「こやんぴの鳥命救助 その3 足を掬われたコサギ物語」は修正後のものだからです。
私は最初、「足を掬われた」ではなく、「足もとを掬われた」と書いていたのです。今までずっとそういう表現だと思い込んでいたからです。
虫が知らせたというのでしょうか、何となく気になってネット検索をしてみたら、「足をすくう」が正解で、「足もとをすくう」は誤りのようです。
『広辞苑』にも「足をすくう」は掲載されていますが、「足もとをすくう」はありませんでした。「足もとを」の用例としては、「弱みに付け込む」という意味の「足もとを見る」しかありません。
『広辞苑』大先生から
「これこれ、こやんぴさん、『足もとを掬われた』などと書いて、足もとを見られないようにしなさいよ。」
と訓告を受けたような気分です。