「こやんぴ」のぶらりお散歩ブログ

お散歩大好きの「こやんぴ」が、ふと出会った植物や動物たちについて思いつくままに記していきます。

幻日(げんじつ)が出ると次の日は荒れた天気

 私は、あまり詩や短歌、俳句などの韻文の感性がないようです。友人に誘われて俳句を始めたのはよいのですが、とんとうまくなりません。所属している句会の例会は月にたった一回だけなのに、当日の朝になっても、自分の句が「できていない! どうしよう?」ということが再々なのですから、上達しないのは当たり前ですね。それにもかかわらず、生来のおっちょこちょいが災いしたのでしょうか、いつのまにか、その句会の幹事に祭り上げられてしまいました。

 

 幹事の役目の一つに句会報の編集作業があります。句会報には、前月の句会の結果報告の他に、句会メンバー持ち回りによるミニエッセイなどを掲載しているのですが、エッセイの引き受け手の原稿が締め切りに間に合わないことがたまにあります。

 

 そのようなときには、やむを得ず、私がピンチヒッターを務めることとなるのですが、この代打、三振や凡フライばかりなので、監督や観客からいつも白い眼で見られるています。以下のエッセイもどきも、つい最近、二死満塁の場面で代打出場し、みごと三球三振をくらった作品です。よろしかったらお読みください。

 

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 覚えておいででしょうか。何年か前の冬に関東地方に大雪が二回も降ったことを。そのうちの一回目の時は、その前の日がとても良いお天気で、私は天気予報を容易に信じることができませんでした。信じないことにへそを曲げたのでしょうか、天は「幻日」を出現させ、私を驚かせたのです。

 

 「幻日ってどんなお化けなの?」とのお尋ねですか。いえいえ、お化けなんかではなく気象現象です。天文気象も俳句の大切な題材の一つですから、皆様が俳句をお作りになる際のお役に・・・たたない可能性は大相撲の巨漢力士よりもずっと大きいとは思います。そこのところ(どこのところ?)は、小兵の貴景勝が小結に昇進したことでもあり、広いお心でお許しいただき、少しばかりお付き合いをお願いいたします。

 

 テレビで、「明日、関東地方は大雪」と大騒ぎしていましたが、夕方になっても、翌日の荒天を予想させるものなど、どこにも見当たりません。当時の私は、「夕焼けサイクリング」を恒例行事としておりました。夕陽のガンマンならぬ夕陽のカメラマンです。苦み走っています。

 

 しかし、当日は雲の配置からみて綺麗な夕焼けは望めそうにもありません。寒いことでもあり、「お休みにしようかなぁ」とも思いましたが、夕空はとても気まぐれ。急に大空一面を紅色に染めることもあるので、後になって悔やむのも業腹というもの、愛馬ならぬ愛自転車のサドルに跨ったのでございます。

 

 何気なく西の空に目を向けると、沈まんとする太陽のはるか南側に、ぼんやりと虹色に輝いているものが。

 「あっ、太陽の犬だ!」。

 「犬」とは言うものの、太陽さんが虹色に輝く毛並みの名犬を飼っている、という訳ではありません。「幻日」とも呼ばれ、太陽から離れた場所に、「ここにも太陽があるよ」とばかりに出現して人を惑わせる自然のいたずら。

 

 この日、「幻日」が「現実」のものとなったのには理由があります。えっ、「げんじつ繋がりのダジャレを言うと思った」ですって? 図星です。今日のお客さんは鋭いや。白状すると、さっきから言いたくてウズウズしていたのです。

 

 話を元に戻しましょう。高い空に浮かぶ雲は、実は、六角柱の氷の粒の塊なのです。これがプリズムの働きをして、条件が揃うと「幻日」が出現するというわけです。必ず太陽から二十度ほど離れた真横の位置に現れるのですから不思議です。幻日の光はとても淡いので、カメラの指示する「適正露出」ではよく写りません。露出補正をすることによって、おぼろげではありますが、この現象を確認できる写真を撮ることができました。

 

 虹色に輝く「太陽の犬」すなわち「幻日」の上の方に注意を向けてください。太陽を囲むように、うっすらとした線のようなものが見えないでしょうか。当日のように薄い雲が太陽の周辺を覆っていると、太陽のかさ、「暈(うん)」を確認することができます。眼を細めて眺めていると見えてくるはずですがいかがでしょうか。「うんうん」とうなずいていただければ幸いです。

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